特集1 東海汽船ジェットフォイル事故 復刻2007 05 25
特集1 東海汽船ジェットフォイル事故 復刻2007 05 25
2007年5月19日、大島16:35発→東京竹芝桟橋行き、東海汽船ジェットフォイル 「セブンアイランド愛」 が、神奈川県久里浜沖で高波海面に衝突、前部窓ガラス破損で海水浸入、27名の負傷者を出した。
***** 乗船者投稿① ***** *****
DATE: 05/25/2007 10:06:24
TITLE: 事故船 乗船者の意見
投稿者 : 笹○○○ 60歳 世田谷区宮坂 同船者 妻 58歳
《乗船者体験談》
東海汽船 ジェットB(愛) 大島⇒東京 5月19日 16:35発 に乗船して
久しぶりに、大島へ行った、三原山へのハイキングと温泉が目的。
帰路(5/19)このアクシデントに遭遇。
約200名の乗客中、27人の怪我人が発生。
私達は偶然無事であったが、楽しい旅行の最後に凄まじい経験をした。
事故は人災か天災かは別にして、その後の対処が非常に大切だと思う。
その意味で、今回の東海汽船の危機管理はまことに劣悪なものであった。
以下実際に体験した内容を報告する。
高速ジェット船が浮上走行中の事故である。
まるで飛行機が墜落するがごとく、突然前触れもなく、いきなり海面に突っ込んだのである。
私達の席は二階の右舷後部窓側で走行中は海面より約4メートル上となる。
時速70キロでの墜落であるから、そのショックは凄まじいものがあった。
一瞬二階の窓も海水で覆われ、一階では厚さ1センチ以上ある硬質ガラスが一瞬で破砕したのである。
クルーの一人が一階船室へ降り、その後、怪我人発生・・浸水中・・と、大声で報告するのを聞いたときは、沈没二文字が脳裏に浮かんだ。
波浪は高く停止した平底高速艇は激浪にもてあそばれ、生きた心地も無かった。
全身ずぶ濡れで血まみれの乗客が水浸しの一階から上へ運ばれてくる、耳や額から血が滴り、止血するにもガーゼや包帯が無く、ただタオルで押さえるしか出来ない。
何人かの方はずぶ濡れで、すでに救命胴衣を着用、エアーも入った状態で居られる。
以下、問題点を列挙する。
1)ガーゼ、包帯、三角巾等の基本的救急セットを搭載していない、カットバンしか無かった、皆でタオル等を供出、傷を押さえるしか対応できず。
2)船舶無線で事故状況を的確に陸上の救急隊に報告していなかった。
久里浜入港後、到着した救急車はわずか一台、救急隊の手で負傷者の数の確認が行われ、新たに救急車を要請するしまつであった。
事故現場から久里浜までは約30分かかったのであるから、十分確認と通報の時間は有ったはずである。
3)代船収容後、後日後遺症等の発症が懸念され、その際の連絡先等確認すれど(分かりましたの言葉だけで)一切船中での連絡無く、靴・着衣等水に濡れたり破損した個人所有の物件に対する状況の確認も無かった。
4)上陸後、そのまま流れ解散。 これで良いのだろうか?
5/21現在、船舶側の女性従業員より電話有り、ご迷惑お掛けし申し訳ない旨、用件は(高速料金の2,500円郵送返金しますので、住所氏名再確認させて下さい)との由、今後鞭打ち症とかの後遺症が出た場合如何しますか?の問いに、(上司と相談して再度電話します)が回答、その後連絡先を知らせる電話有り。
事故に対する対応って、こんなものなのだろうか?
***** 乗船者投稿①ここまで ***** *****
◆定期船コメント
肝心の船社の対応についてですが、F.Sさんの実に詳細な情報を頂きましたことで、その不味さが浮き彫りになりました。東海汽船の公式サイトには、たった1通の形式だけの謝罪文が掲載されていますが、多分あれで終わらせる心算かも知れません。
常識的には、
1 まず役員を久里浜港へ派遣して、対応の指揮に当たらせる。
2 何はさて置いても、緊急に現金を用意して、スブ濡れになったお客様への当座のお見舞金などの、心遣いを見せる。
3 事故船の久里浜港到着までに、海上からの報告を元に必要な救急手配をする。
4 お客様への今後の治療費や損害補償など、避けて通れない重要事項についての方針をその場で公表して、お客様が今後会社との間で具体的にどうしたら良いのか、を明らかにして、取り敢えず今後に不安を抱かない説明をしてから、お帰り頂く。
以上のような基本的な対応が、まったく出来なかったことは残念です。
この程度しか出来ないことが分かった、良い機会だったと考えています。
実は昨年大洗港で、入港直前のフェリーが強烈な波浪を受けて、船内の積荷に被害を被った上に、入港できずに相当時間洋上で待機せざるを得なかった、という事故が発生しました。
この際の船社の対応は素早く、先に役員が現地に出向きお客様への対応指揮をとられたのを見ましたが、多分こうしたことは対岸の火事だ、と見ていたのでしょうね。
F.Sasayaさんから頂いた問題点を再確認したいと思います。
(1) ガーゼ、包帯、三角巾等の基本的救急セットを搭載していない、カットバンしか無かった、皆でタオル等を供出、傷を押さえるしか対応できず。
お粗末で悲しい、乗船しないことが一番の対応策といわざるを得ないですね。
この後、救急医療用品を整備備え付けるなんてことを、実際にするのでしょうか。
(2) 船舶無線で事故状況を的確に陸上の救急隊に報告していなかった。
久里浜入港後、到着した救急車はわずか一台、救急隊の手で負傷者の数の確認が行われ、新たに救急車を要請するしまつであった。
事故現場から久里浜までは約30分かかったのであるから、十分確認と通報の時間は有ったはずである。
救急車が1台しか待機していなかった、というのは報道でもなされていましたが、救急隊の判断で負傷者の状況を確認した後、所要の手配をする心算であったとも考えられますが、文面から見ますと海上からの連絡に不備があったかも知れませんね。
運航管理者への「報告マニュアル」が、無いのかもしれません。
信じられないことではありますが。
(3) 代船収容後、後日後遺症等の発症が懸念され、その際の連絡先等確認すれど (分かりましたの言葉だけで) 一切船中での連絡無く、靴・着衣等水に濡れたり破損した個人所有の物件に対する状況の確認も無かった。
後遺症の発症の場合の連絡先と、水濡れ被害や物的被害の状況把握、やらなかったということは、指示がなされなかったということ、怒りを覚えますね。
(4) 上陸後、そのまま流れ解散。
上陸は竹芝桟橋でしょうから、東海汽船本社近く、社員役員総出でお出迎え、ずぶぬれ着衣であることを考慮すれば、自宅または宿泊ホテルまで、タクシーでの送りは常識、そういう考えすら出来ないのでしょう。
貴重な乗船体験をご投稿頂けました事、改めて感謝申し上げます。
有難うございました。
by 定期船
***** 乗船者投稿② 東海汽船→乗船者 ***** *****
DATE: 06/13/2007 09:34:58
TITLE: 東海汽船よりのメール
釣○様
日頃ご愛顧を賜りありがとうございます。
私は、東海汽船お客様係の○○と申します。
この度は、弊社ジェット船セブンアイランド愛の事故により多大なご迷惑をおかけ致しました。誠に申し訳ございません。 また、5/24に○○様のメールを受信、拝読いたしておりましたが、今までお返事をする事が出来ずすみませんでした。 釣月様にはその後お身体や当日のお手回り品に不具合等はございませんか。
さて、メールに提起されております問題点についてご説明、ご回答申し上げます。
事故の原因については、現在所管海上保安部並びにメーカーで調査中でまだ判明しておりませんが、
事故の状況は○○様のご覧頂いたとおりです。
弊社にとりましても前例のない(国内の同型船で波浪によるガラスの破砕は初のケース)事故であり、
また大量の海水流入も想定になく充分な事故対策は施しておりませんでした。
1)救急医療用品は法令の定める量は搭載しておりましたが絶対量が足りませんでした。
2)救急隊の要請の不備は、これは私が現場におり対応させていただきました。
救急車の複数台出動は身動きの出来ない重症患者数に拠るようで、当日もこの点を確認されました。
本船からは、既に10名を超える負傷者発生の報告を受けておりましたが、
救急隊との話で次々に増車するとの約束でまず1台先行させるという対応になりました。
この場合、「動けない人」の有無より現場の状況の凄惨さを正しく伝達できていれば
より正しい対応が出来たはずで現場担当者として反省をしております。
3)4)負傷者の搬出以後の対応は久里浜港でも、代船船内でも行き届いていなかったようで申し訳ございません。
船員も陸上の避難訓練のような繰練という非常時訓練を行っておるのですが現実に起こった事故には
全く対応できませんでした。
私自身もそうでしたが、負傷者に気を取られてしまい、久里浜港から皆様を送り出した後に、今後のご案内をしなかったことに気づきました。事故後には負傷されたお客様はもとより、幸いにも負傷されなかったお客様方から対応の不備についてのお叱りを多数頂きました。
東京港では皆様に運賃の一部払い戻しと今後の補償についてのご案内をする体制をどうにか整えたのですが、また、船内で充分お伝えする時間があったのですが、結果として出来ず皆様を誘導することが出来ませんでした。そのため、後日お電話での対応となりましたが、職員の気配り、言葉も足らずご不快な思いをお掛けしました。
ご提示された問題点については、当時は以上のとおりで弁明の余地はありません。重ね重ね申し訳ございませんでした。
次に、事故後の対策として、この事故を教訓に再発防止と災害時対応についての取り組みをご説明いたします。 まず、ハード面では現在国土交通省の指導を受け前面の窓ガラスには防護用のプレートを付け飛散防止対策等を施す修理作業を本日現在も行っております。
船内救急医療品については、搭載量を増やし対応いたします。定員が260名の船ですので全員分の搭載は難しいのですが必要数を検証し用意する所存です。
ソフト面では、旅客船らしいお客様のケアを常に念頭において行動できるような社員教育も実施したいと考えています。
また、会社として事故発生時の緊急体制を検証し、より的確な、かつ迅速な対応が取れるような体制作りを進めて参ります。
安全運航の確保が最優先であることは変わりありませんが、今後は模擬訓練なども取り入れ、万一事故発生の折には被害を最小限にとどめるための技術的な習熟も図りたいと考えています。
弊社が、20名を超える負傷者を出したのは近年では記憶にない事でその分、怪我の軽重を問わず重大事故と認識しております。 負傷されたお客様には1日も早いご快癒をお祈りし、またお怪我のなかったお客様には、再び伊豆諸島へお出かけいただけるように
安全運航や旅客船事業者としてのホスピタリティの向上等で信頼回復に努めたいと考えておりますので何卒ご支援のほどお願い申し上げます。
末筆ではございますが、釣月様の貴重なご意見に感謝申し上げ、皆様のご健勝をご祈念申し上げます。
事故関連と思われる不調、不具合等はお申し出を承りますのでご心配な点がございましたらご連絡願います。
お返事が遅れましたことを重ねてお詫び申し上げます。
ありがとうございました。
東海汽船㈱旅客課長 ○○○○
***** 乗船者投稿②ここまで ***** *****
***** 乗船者投稿③ 東海汽船→乗船者→東海汽船 ***** *****
DATE: 07/29/2007 11:53:52
TITLE: 東海汽船事故、その以後
◆超高速ジェット船船体の一部改造について (東海汽船よりの報告)
◇5月19日に超高速ジェット船セブンアイランド愛が予期せぬ波浪による海面
への突入事故を起こしました。
弊社ではこの事故を受け、全力で再発防止に努めておりますが、今般セブンアイ
ランド愛・夢・虹の3隻とも1階席前面にありました6枚の強化窓ガラスを強力な
鉄板にてすべて覆い被せ、既に定期航路の運航に就いております。
1階席前側をご利用のお客様にはご不便をお掛けいたしますが、安心してご乗船
いただけますので、何卒ご理解くださいますよう、よろしくお願いいたします。
(以下、報告書に対する返信)
私は今回の事故を体験するまで知りませんでしたが、貴社におかれましては、同型船が世界中で色々な事故を起こしているのは当然ご存知だと思います。
貴社より、上記の様なご連絡をいただきましたが、基本的に事故の再発に対策が施されたのでは無く、同じ事故が発生するとの前提に立っての、問題のすり替えではありませんか?
それならば、妊産婦、幼児の乗船を禁止するべきではありませんか?
貴社の対応を全く理解する事が出来ません。
すでに生産中止となっている、この軍用に開発された ジェットフォイルは、民間用としては、決して安全な交通手段ではない分けですから、従来の船舶のマニュアルではなく、航空機に準ずる安全対策マニュアルと船員の訓練が必要と思います。
それが不可能なら即刻運行を中止するべきだと思います。
今後同様の事故が発生した場合、それは事故ではなく犯罪です。
事故体験者
***** 乗船者投稿③ここまで ***** *****
東京港竹芝桟橋のジェットフォイル 「セブンアイランド愛」
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